· 

町名変更があった場合又は住居表示があった場合に、住所変更の登記が必要か?

売買による所有権移転登記の前提として、登記簿上の住所から変更があった場合、住所変更の登記をしなければなりません。これは実務において常識ですし、司法書士試験においても最重要論点です。


引っ越して住所が変わった場合には住所変更の登記が必要だとは誰にでも分かりますが、引越していなく、単に町名だけ変わった場合(【例】佐藤町16番地⇒鈴木町16番地)は住所変更の登記は必要なのでしょうか?


答えは不要です。地番の変更を伴わない行政区画又はその名称の変更があった場合には、所有権登記名義人の表示は、変更の登記があったものとみなされるためです(不動産登記規則92条)。地方自治法8条の規定により、村から町に変更された場合(【例】佐藤村⇒佐藤町)も住所変更の登記は不要です。


引越しはしていないが、行政区画の変更に伴い、町名及び地番が変更していた場合(【例】佐藤町16番地⇒鈴木町15番地)、住所変更の登記は必要なのでしょうか?


答えは必要です。地番の変更を伴う行政区画の変更があった場合は不動産登記規則92条の規定が適用されないため、住所変更の登記が必要です。この場合、市町村に町名地番変更証明書を発行してもらい、これは非課税証明書になるため登録免許税は不要です(登録免許税法5条5号)。


引越しはしていないが、住居表示が実施された場合(【例】佐藤町16番地⇒佐藤一丁目1番6号)、住所変更の登記は必要でしょうか?


答えは必要です。住居表示が実施された場合、年月日住居表示実施として登記名義人住所変更登記をしなければなりません。この場合、市町村に住居表示実施の証明書を発行してもらい、これが非課税証明書になるため登録免許税は不要です(登録免許税法5条4号)。


以上のように、所有権移転の前提として住所変更の登記が必要な場合と不要な場合があるので注意しなければなりません。仮に住所変更登記が必要なのにも関わらず、住所変更の登記を入れないで所有権移転登記を申請してしまったら却下になってしまい、実務では大問題になってしまいます。当然司法書士試験の書式問題でも致命的なミスになるでしょう。


司法書士 佐藤賢