不動産の換価分割(実際にあった相続相談シリーズ2)

不動産の換価分割に関する相談を受けることがあります。

 

不動産の換価分割をするためには、売買の登記の前提として相続登記をする必要があります。

 

換価分割の際、相続人全員名義にする相続登記をする場合がありますが、この場合不動産売買の当事者が大人数になるため、不動産売買の手続きが面倒になることがあります。例えば共同相続人が10名いたとしたら相続人全員名義に相続登記をすると、不動産売買の売主が10名になります。

 

そのため便宜上、共同相続人のうち1名の名義に相続登記をしたうえで不動産売買をして売買代金を共同相続人に分配する場合があります。

 

この場合相続登記名義人から他の分配を受けた相続人への贈与と認定されて贈与税の課税がされるのか疑問が生じます。

 

この点に関し、国税庁の質疑応答があります。

【照会要旨】

遺産分割の調停により換価分割をすることになりました。ところで、換価の都合上、共同相続人のうち1人の名義に相続登記をしたうえで換価し、その後において、換価代金を分配しました。この場合、贈与税の課税が問題になりますか。

【国税庁回答要旨】

共同相続人のうち1名の名義で相続登記をしたことが、単に換価のための便宜のものであり、その代金が、分割に関する調停の内容に従って実際に分配される場合には、贈与税の課税が問題になることはありません。


換価分割の便宜上取得する旨の遺産分割協議書で相続登記できるか

換価分割の前提としての相続登記で、便宜上共同相続人のうち1名の名義にすることはありますが、遺産分割協議書上の文言として【換価分割のため便宜上Aが取得する。】と記載してあると、法務局から【便宜上】という文言を削除するように補正の連絡がある場合があります。

 

これは名古屋法務局で実際にあった補正内容です。登記は実体にあった形で登記するのに便宜上取得するのはおかしいと言われました。これは法務局や担当者レベルで取扱いが変わる可能性があります。心配であれば管轄の法務局に確認してください。


換価分割の際の譲渡所得税

不動産の換価時に換価代金の取得割合が確定している場合、各相続人の譲渡所得税は、換価代金の取得割合で申告することになります。

 

不動産の換価時に換価代金の取得割合が確定していない場合、法定相続分により譲渡所得税の申告をすることが原則ですが、所得税の申告期限までに換価代金が分割され、共同相続人の全員が換価代金の取得割合に基づき譲渡所得の申告をした場合には、その申告は認められます(国税庁質疑応答)。