固定資産税の相続放棄

被相続人の滞納した固定資産税は相続放棄できます。

 

不動産の所有者が亡くなり、役所が相続人に対して滞納固定資産税の通知をすることがあります。

 

この通知により相続人が初めて不動産所有者が死亡したことや不動産を所有していたことを知ることもあります。

 

この場合、不動産所有者が亡くなってから3か月を超えていても、滞納固定資産税の通知を受領してから3か月以内であれば相続放棄できる余地があります。

 

相続放棄できれば、相続人は滞納固定資産税を支払う必要はありません。

 

相続放棄しても固定資産税を支払わなければならない場合

相続放棄できれば固定資産税は支払う必要がありませんが、例外があります。

 

相続放棄した者がすでに役所に相続人代表者届出書を提出し登録されている場合や、債権者代位や法定相続による登記をしたこと等により役所の課税台帳に所有者として登録されている場合は、相続放棄しても固定資産税の支払義務を免れることはできません。

 

これは民法と税法の取扱いの違いから生じます。最高裁平成26年9月25日判決で次のように判示しています。

 

土地、家屋及び償却資産という極めて大量に存在する課税物件について、市町村等がその真の所有者を逐一正確に把握することは事実上困難であるため、法(地方税法343条)は、課税上の技術的考慮から、土地又は建物については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者を固定資産税の納税義務者として、その者に課税する方式を採用しており、真の所有者がこれと異なる場合における両者の間の関係は私法上の求償等に委ねるものと解される。

 

この判例は、相続放棄して不動産を取得しないのにもかかわらず、固定資産税の支払義務が残ってしまうケースがでてくるため、相続放棄をした者にとって不利になりえるものです。