付言事項

遺言には法律で定められた形式・内容がありますが、それらを守る限り、法律に反しない範囲で遺言に遺言の動機や、遺言者の想い等を記載することができます。このように遺言に付け加えるものを、付言事項といいます。

 

遺言者が、なぜこのような遺言の内容にしたのか書くだけで子供同士の対立を防ぐ効果が考えられます。遺言書にその理由が書いていないと、取り分が少なかった子供は親によく思われていなかったのかと感情的になる可能性があるのです。

 

また遺言書の中に、付言事項として遺言者の希望を記載しておけば、法的拘束力はないものの相続人は遺言者の想いに従い行動することが期待できるでしょう。


付言事項の例

【生前贈与をしていたからこの遺言にしたという付言事項】

第〇条 遺言者が、本遺言において長男佐藤A作に遺産を相続させなかったのは、以下の財産をすでに生前贈与していたからであり、そのため遺言者は、長男佐藤A作が他の相続人に対し、遺留分減殺請求を行使しないよう希望する。これからも兄弟が助け合い、末永く仲良く暮らすことを切に願う。

 

【寄与分があるからこの遺言をしたという付言事項】

第〇条 遺言者が、長男佐藤A作に対し、法定相続分を超える価額の財産を相続させる遺言をしたのは、Aの寄与分に配慮したためです。長男佐藤A作は、遺言者が経営していた会社に共に従事し、会社の発展に大きく貢献してくれました。したがって他の相続人はそのことを理解し、万が一、その遺留分を侵害していたとしても、遺留分減殺請求を行使しないように希望します。これからも兄弟が助け合い、末永く仲良く暮らすことを切に願います。

 

【葬儀の希望を書いた付言事項】

第〇条 遺言者の葬儀は、仏式で行い、親族葬で行うことを希望します。

第〇条 遺骨は、遺言者の生まれた〇〇の沖合の海上に散骨するように希望します。