相続放棄するかを3か月以内に判断できない場合

相続人は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月の熟慮期間内に、単純承認、限定承認又は相続放棄をしなければなりません。


ただし、この熟慮期間内に相続人が相続財産の状況の調査に時間がかかっていたり、単純承認、限定承認又は相続放棄のいずれかを決定できない理由がある場合は、家庭裁判所に申し立てれば、この3か月の熟慮期間を伸長することができます。


家庭裁判所が熟慮期間伸長の申立を審理するに当たっては、相続財産の構成の複雑性、所在地、相続人の海外や遠隔地所在等の状況のみならず、相続財産の積極、消極財産の存在、限定承認をするについての共同相続人全員の協議期間並びに財産目録の作成期間などを考慮して審理することになります(大阪高裁昭和50年6月25日決定)。


熟慮期間伸長の申立人

利害関係人(相続人を含みます。)

検察官


熟慮期間伸長申立ての期限

自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内


伸長できる熟慮期間の長さ・回数

特に制限はありませんが、一般的な伸長の期間は3か月程度だと思われます。

 

2回以上熟慮期間の伸長をする場合や3か月を超える伸長を求める場合は、裁判所にそれだけ調査期間が必要である理由を説明する必要があります。


熟慮期間伸長の申立先

被相続人の最後の住民票上の住所地の管轄家庭裁判所


熟慮期間伸長申立の必要書類

申述者(相続放棄する方)が、被相続人の配偶者又は子の場合】

・被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票

・伸長を求める相続人の戸籍謄本

・被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本

 

【申述者が、被相続人の子の代襲者(孫、ひ孫)の場合】

・被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票

・伸長を求める相続人の戸籍謄本

・被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本

・被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載がある戸籍謄本

 

【申述者が、被相続人の直系尊属(父母・祖父母)の場合】

(先順位相続人から提出済みのものは不要です。)

・被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票

・伸長を求める相続人の戸籍謄本

・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

・被相続人の子及びその代襲者で死亡している者がいる場合、その子及びその代襲者の出生から死亡までの戸籍謄本

・祖父母が相続人になる場合、父母に死亡の記載がある戸籍謄本

※先の順位者がいる場合は、その者の相続放棄が受理されていないと申立てできません。 

 

【申述者が、被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者(おい・めい)の場合】

(先順位相続人から提出済みのものは不要です。)

・被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票

・伸長を求める相続人の戸籍謄本

・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

・被相続人の子及びその代襲者で死亡している者がいる場合、その子及びその代襲者の出生から死亡までの戸籍謄本

・被相続人の直系尊属の死亡の記載がある戸籍謄本

・申述人が代襲相続人(おい・めい)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載がある戸籍謄本

※先の順位者がいる場合は、その者の相続放棄が受理されていないと申立てできません。 

 


熟慮期間伸長申立の費用

 手続き 報酬 
熟慮期間伸長申立(1人のみ) 金2万円
熟慮期間伸長申立(2人目以降)

金1万円


収入印紙  相続人1人につき800円分

郵便切手  裁判所により異なります。