基金制度は、資金調達の手段を設けることで、出資の概念が無い非営利法人の経済基盤を維持し、その活動資金とするための制度です。
基金として一般社団法人に拠出された金銭その他財産は、法律および合意に従って一般社団法人は返還義務(金銭以外の財産については拠出時の当該財産の価額に相当する金銭の返還義務)を負うものとされます。
基金は、一種の外部負債であり、基金の拠出者の地位は、一般社団法人の社員の地位とは結びついていません。社員以外の者が基金を拠出することもできます。
基金を拠出することは、社員の義務ではなく、それぞれの法人が基金制度について任意に定めることができます。
基金は、金銭でも、金銭以外の財産でもよく、基金の額について制限はありません。
基金の運用益は法人の収益になり、運用益が基金拠出者に配当されることはありません。
基金は、会社の資本金と異なり、登記事項になりません。
基金を引き受ける者の募集をするためには、【基金の拠出者の権利に関する規定】、【基金の返還手続に関する規定】を定款で定めなければなりません。
(基金の拠出者の権利に関する規定の例)
拠出された基金は、〇年〇月〇日までは返還しない。
拠出された基金は、法人が解散するまで返還しない。
拠出された基金は、基金拠出者と合意した期日までは返還しない。
基金を募集する場合、その都度、募集にかかる基金の総額、払込期日等の募集事項を定めなければなりません。募集事項を定めるには社員全員の同意が必要になります。
基金が金銭の場合は、基金の引受人は、募集事項の決定において定めた払込期日までに、一般社団法人が定めた銀行等の払込み取扱い場所において、基金の払込金額の全額を払い込まなければなりません。
基金の引受人が基金の拠出を履行しないときは、基金の引受けは、効力を失います。
1.定款に基金に関する事項を定める(定款に基金の規定がない場合)
2.基金の募集事項の決定
3.基金の募集事項の通知
4.基金引受けの申し込み
5.基金の割当て決定及び通知
6.基金の拠出の履行
7.基金の拠出の効力発生日
基金の返還は、定時社員総会によって行わなければなりません。
基金の返還請求権には利息はつけられません。
基金の返還は自由にできるというものではなく、事業年度にかかる貸借対照表上の純資産額が、基金等の合計額を超える場合に限り、その超過額を返還の限度額として基金の返還ができます。
基金を返還する場合、返還する基金に相当する金額を代替基金として計上しなければなりません。基金は法人の財産的基盤を形成するものであるため、基金を返還する場合に、基金を返還しつつも返還相当額を代替基金として計上することで、法人の財産的基盤を棄損しないようにするための措置です。
一般社団法人が解散した場合は、基金の返還に係る債務の弁済は、その余の清算一般社団法人の債務の弁済がされた後でなければ、することができません。
代替基金の問題もあるため、実際には基金制度はあまり利用されていないようです。
実際には、会費、寄付金、借入金を一般社団法人の運転資金にしているところが多いと思われます。
非営利型一般社団法人であれば、会費や寄付金に関しては課税対象にはなりません。