遺言書とエンディングノートの違い

最近【エンディングノート】という言葉が流行しています。

 

本屋で文具会社、出版社、士業等が製作したエンディングノートを買うことができますし、各地でエンディングノートの書き方セミナーも開催されていて、【エンディングノート】の内容は分からなくても聞いたことがあるという方がほとんどなのではないでしょうか。

 

このエンディングノートですが、言葉のニュアンスから遺言書とだいたい同じようなものだろうと勘違いされている方もいらっしゃるようです。遺言書をエンディングノートは似て非なるものなので注意しなければなりません。


エンディングノートとは

エンディングノートとは、人生の終焉に向けて、自分自身の歴史、自分自身の財産、介護の希望、延命措置の希望、葬儀やお墓の希望、家族への想い等を記載しておくノートのことです。


エンディングノートは、市販させているもの、インターネット上でダウンロードできるもの等様々なものがありますが、法律で定められているわけではないので形式は自由です。


販売されてるエンディングノートは、記入する量が多く大変そうですが、順番に質問に答えていけば完成するので、相続に関する知識や法律の知識が無くても時間さえかければ簡単に完成させることができます。


終活には興味があるけど、具体的に何をすればいいか分からない方も多いと思います。このエンディングノート完成させる過程で終活に関することを色々と考えることができますので、エンディングノートを作成することは終活のきっかけとしてはいい方法だと思います。


遺言書とエンディングノートの違い

遺言書とエンディングノートの1番の違いは、法的効力があるかないかです。遺言書は法律に規定があるもので、当然法的効力がありますが、エンディングノートは法律上の規定があるわけではなく、法的効力もありません。

遺言書と同じような内容をエンディングノートに記載しても法的効力は無いのです。遺言書を作成する前段階としてエンディングノートを作成するのはいいと思いますが、エンディングノートだけでは、ご自身の希望を実現できません。それぞれの役割を考慮して場合によっては二つ作成するのがいいかもしれません。

例えば、将来の介護、医療、延命治療の希望や葬儀やお墓についてはエンディングノートに書いておけば、残された家族は助かると思います。遺産相続に関してはエンディングノートに記載しても法的効力が無いので、想いを実現したいのであれば遺言書を作成すべきです。

遺言書とエンディングノートの違いの比較表

遺言書
エンディングノート
法律上の形式
あり(形式不備の場合、無効)
なし
法的効力 あり(法律で定められた事項のみ)
なし
開封
勝手にはできない
自由にできる
遺産相続
できる
できない
介護・医療・延命治療の希望
生前のことなので書かない
生前のことでも書ける
家族への感謝のメッセージ
書ける
書ける
書き直し
できる
できる