公正証書は、公証役場において公証人によって作成される書類で、強い証拠力を持つ書類といての価値があり、後日契約の事実等で紛争が生じた時、容易に立証できる利点があります。
公正証書を作成する目的の中でも、もっとも重要でかつ公正証書にする効果があるのが、金銭の支払いを目的とするものです。
金銭債務の場合には、公正証書に【債務を履行しないときは直ちに強制執行を受けても異議のないことを認諾する】旨の記載(執行認諾約款)があれば、債務者がその債務を履行しないとき、この公正証書に基づいて強制執行できるためです。
債務者にとっては公正証書が作成されると、強制執行されるかもしれないという心理的圧力になり、債権者側はしっかり支払ってもらえる可能性が高くなります。
そのため、債務者が一括払いができない事情がある場合、分割払いとなりますが、約束を守らせるために公正証書を作成しておくと安心です。
執行認諾約款の記載を忘れると、その公正証書は執行証書とならないので強制執行の際に使えません。この約款は絶対に必要です。
公正証書には特定の具体的債務を記載しなければなりません。抽象的な記載では強制執行できません。
金銭貸借の場合には、金銭貸借の当事者、貸借の年月日、貸借金額をもって特定します。
利息の約定が無ければ、商人間の行為でない限り、無利息になります。商人間の場合は、利息の約定が無くても、当然利息付とされます。
利率の定めが無ければ、法定利率によります。民事債権の場合は年5%、商事債権の場合は年6%になります。
元本が10万円未満の場合 年20%
元本が10万円以上100万円未満の場合 年18%
元本が100万円以上の場合 年15%
利息が上記の利息制限法が定めた利率を超えるときは、その超過部分は無効です。
損害金の場合には、上記利率の1.46倍を超えるとき、その超過部分は無効です。
期限の利益喪失約款が無いと、債務者がいくら分割払いの弁済を怠っていたとしても、債権者は遅れいている部分しか請求できません。この約款があれば、期限の利益が喪失すれば全額を請求することができます。
当事者の運転免許証等の本人確認書類と認印、又は当事者の実印と印鑑証明書
当事者が法人の場合、代表者の資格証明書又は現在事項全部証明書(商業登記簿)
公正証書の作成する際、公証役場に当事者全員が出席するのが原則ですが、どうしても当事者の一人が出席できない場合は、代理人が出席することになります。
当事者が相手の代理人を兼ねることはできません。
この場合、委任状に公正証書作成に関する委任事項を記載に、委任者が、署名及び実印による押印をし、印鑑証明書を添付する必要があります。
代理人の場合、代理人の運転免許証等の本人確認書類と認印、又は代理人の実印と印鑑証明書が必要です。