相続手続のQ&A

相続手続きのQ&A

自分勝手な子供に財産を相続させたくないのですが、どうすればよいでしょうか?

生前に手続きを行う事でまたは、遺言を残すことにより、子供を推定相続人から廃除することができます。ただし廃除するためには、推定相続人の虐待、侮辱その他の著しい非行行為が客観的に重要なものであることが必要とされているため簡単にできるわけではありません。廃除の手続きは生前でも遺言でもできますが、遺言執行者が廃除原因を証明するのは難しい場合が多いため、本当に廃除したいのであれば生前に自分で手続きを行うことをおすすめします


遺産分割協議で借金を引き継ぐものを決めることはできるのでしょうか?

相続というと、プラスの財産のみを承継するようなイメージを持っていると思いますが、借金、つまり債務も相続の対象になります。そして債務については相続開始とともに当然、共同相続人間で分割され、共同相続人は、その法定相続分に応じた割合で債務を負担するのであって、例え遺産分割協議で特定の相続人が借金の承継すると定めても債権者には主張できません。

ただ相続人内部で定めておけば、自分が借金を支払った後に求償することが可能です。また債権者の承諾があれば特定の相続人に債務を負わせることが可能ですので、相談してみるのもいいかもしれません。


相続人の一人が行方不明で遺産分割協議ができませんが、どうしたらよいでしょうか?

まず、生きているはずであるが、所在が分からない場合には、家庭裁判所に対して、不在者財産管理人を選任するよう申し立てます。遺産分割は不在者の財産を処分する重大な行為であるため裁判所が監督する必要があり、財産管理人が遺産分割を行うには、家庭裁判所の許可が必要となります。

 

次に、そもそも生死が不明な場合は、行方不明から7年以上経過している場合は、失踪宣告の手続きをとります。失踪宣告された者は死亡したとみなされるため、この者は除外して遺産分割協議することになります。ただし失踪宣告された者に子供がいる場合は、代襲相続しますのでその子が遺産分割協議に参加することになります。


遺言とは異なる内容の遺産分割協議をすることは可能ですか?

すべての財産について、具体的にどの財産は誰が相続するということが遺言で指定されている場合でも、相続人全員の合意があれば遺言の内容とは異なる遺産分割協議ができます。

遺言に従って相続したうえで贈与する方法も考えられますが、贈与税の問題もありますし、手続きに時間もかかるので、はじめから遺産分割協議により相続させた方がよいでしょう。


遺産の一部についてのみ分割することは可能ですか?

遺産の一部のみ分割することも、相続人全員の合意があれば可能です。一部分割は、後日に紛争の種を残すことになりますので、可能である限りは、遺産全部を対象とした遺産分割をすべきでしょう。


葬儀費用は誰が負担するのですか?

葬儀費用は誰が負担するのか相続人らの合意によって決めることができれば問題ありませんが、合意できない場合、法律の明文がないため一律に決められません。

喪主が負担する説、相続人それぞれが負担する説、相続財産の中から出す説、慣習説があります。一般的にはまず葬儀費用は香典等から充当し、香典等では足りない場合は、相続財産の中から支払、それでも足りない場合は相続人が各自負担するという方法がとられていると思われますが、法律の規定ではありません。

 

相続人の一人が遺産である預金を引き出して葬儀費用に使った場合、相続人全員の協議や調停により合意ができるのであれば、資産である預金から、この費用分は差し引くことができます。しかし協議や調停で合意ができず、審判に至った場合、葬儀費用の負担の問題は民事訴訟で解決しなければならなく不満のある相続人が葬儀費用としての〇〇万円が相当でないと葬儀費用を預金から引き出した相続人に対し、不法行為による損害賠償請求をすることになります。それに対抗するために葬儀費用を引き出した相続人は証拠として葬儀にかかった費用の領収書等を保管しておくことが大事になります。


面倒を見てくれた内縁の妻に財産を残したいがどのような方法が考えられますか?

内縁の妻の場合、例え結婚式を挙げ、あるいは夫婦同然の生活をしていたとしても相続権はありません。そのため、何も対策をしなければ内縁の夫が死亡したとき、その財産は全て法律上の妻と子に相続されてしまい、内縁の妻には何も残せません。

 

これを防ぐためには法律上の妻との結婚生活が破たんしているのであれば、離婚し内縁の妻と結婚するのが一番手っ取り早いです。しかし何かの事情で法律上の妻とは離婚できなかったり、内縁の妻と結婚できない場合は次の方法が考えられます。

 

・生前贈与する。

 

・遺言書を作成して遺贈する。

 

・生命保険金の受取人を内縁の妻にする。


小規模宅地等の特例を使えば、相続税はかからないと思われる場合でも、相続税の申告は必要ですか?

相続税の申告義務は、小規模宅地特例を適用する前の遺産総額が、基礎控除を超え、配偶者の税額軽減の規定の適用がないものとして相続税額の計算を行った時に、納付すべき税額が算出される場合に生じます。

よって相続税の納付が必要ない場合でも、相続税の申告は必要なので注意してください。


共同相続人の一部の者だけで相続登記できるか?

共同相続人の一部の者が保存行為として相続人全員のために法定相続分により相続登記ができます。しかし登記識別情報は申請人に対してのみにしか通知されませんので、申請人以外の相続人は持分を相続するものの登記識別情報は通知されません。

そのため今後不動産取引をする場合は、登記識別情報を提供できないので、本人確認情報を司法書士に作ってもらうか、事前通知制度を使うことになります。


相続登記だけでなく、預貯金や株式の相続手続きもお任せできますか?

預貯金や株式の相続手続きもご希望があればさせていただきます。

 

不動産が無い場合、預貯金や株式しかない場合の相続手続きだけでも対応可能ですので安心してご相談ください。