名古屋地方裁判所の同時廃止運用基準(H25.3.1時点)


1.総額40万円基準

債務者の資産総額が40万円(管財事件の最低予納金)に達しない場合、同時廃止とする。

2.個別項目30万円基準

債務者に30万円以上の価値のある個別資産がある場合は、債務者の資産総額が40万円を超えるおそれがあるので、資産総額40万円以上とみなす。つまり同時廃止できない。


上記1.2.の要件を満たす場合でも同時廃止が認められない場合

・ 管財人による財産調査が必要と認められる場合

・ 否認権行使の対象となりうる行為がある場合

・ 免責不許可事由が認められ、管財人が破産者の生活状況を観察する必要がある場合


同時廃止運用時の資産価値の算定

現金

99万円までの現金は資産としてカウントしません。


※申立直前に資産(預貯金等)を換価した場合、原則残現金は換価前の資産とみなします。ただし申立人の経済生活の維持・再生のために必要がある場合は、申立直前の現金化の残金であっても資産としてカウントしません。

預貯金

預貯金の合計額が30万円以上の場合には、管財事件となります。

生命保険等

生命保険等の解約返戻金の合計額が30万円以上の場合には、管財事件となります。

ただし、現に医療給付を受けているか将来医療給付を受ける蓋然性が高い場合、あるいは高齢で再度の保険加入ができない場合などは、生命保険の貯蓄性を否定して資産として評価しないこともできる可能性があります。

退職金

退職金予定額の8分の1相当額が20万円以上の場合(つまり退職金予定額160万円以上の場合)には、管財事件となります。

自動車・オートバイ

・残債が無い場合(所有権留保が無い場合)

自動車等の処分価格が30万円以上の場合は、管財事件となります。

なお処分価格の判断にあたり、推定新車価格(実際の購入価格ではなく、メーカーが発表している車両本体価格)が300万円以下の国産車であり、かつ、初年度登録後7年以上経過したものについては、原則として無価値とみなすことができます。ただし中古車市場の動向

に照らし、無価値と評価できない場合は、査定書の見て判断することになります。


・残債がある場合(所有権留保がある場合)

信販会社に引き上げさせ、あるいは無価値であり引き上げ処理しないことの確認をとり、それを示す資料を提出すれば、資産としてカウントしません。

電話加入権

1本2000円で換算します。

不動産

住宅ローン等で担保権が設定されている不動産の場合、建物の担保する被担保債権額が固定資産税評価額の1.5倍以上である場合、土地の担保する被担保債権額が固定資産税評価額の2倍以上である場合は、無価値とすることができます。


※上記を満たさない場合でも、被担保債権額が不動産業者2名の査定額の平均値の1.5倍以上である場合は、無価値とすることができます。また不動産鑑定士の鑑定評価額の1.2倍以上の場合も無価値とみなすことができます。

債権

債権額(券面額)が30万円以上の場合は、管財事件となります。

ただし、回収不能、回収困難であるときは、本人の陳述書のほかにその内容を裏付ける客観的資料を提出させた上で無価値とすることができます。


同時廃止事件か破産管財事件かの判断例

・財産が、①現金20万円②預貯金10万円③解約返戻金20万円の生命保険の場合

 ②及び③はそれぞれの項目で30万円未満であり、②及び③の合算額も30万円で40万円未満であるので、同時廃止で処理できます。


・財産が、解約返戻金15万円の保険が3口の場合

 合計額が36万円になるので、管財事件となります。


・財産が、①自動車(査定額28万円)②預貯金20万円の場合

 それぞれは30万円未満ですが、合算額が48万円で40万円以上となるので、管財事件となります。


個人事業主・法人の場合

個人事業主(申立前5年以内に事業を廃止した者を含む。)

原則として管財事件となります。

ただし次の条件を満たしている場合、同時廃止で処理することができます。

・債務者の事業用資産と生活用資産の処分価値の合計が40万円に満たないこと。

・申立後に買掛金や外注費等、事業による新たな債務が生じないこと。

・事業廃止前2年分の税務申告がなされており、その申告書及び会計帳簿が存在すること。

会社代表者(申立前5年以内に会社代表者を退任した者を含む。)

原則として管財事件となります。

ただし次の点につき十分な調査、確認がなされている場合、事案により同時廃止で処理することができます。

・必要に応じて行う債権者に対する意向聴取によって否認行為等の有無を調査する。

・債権者に対する意向聴取の結果及び確定申告書、決算報告書等により資産の有無を判断する。

・会社について破産申立がなされていない場合、会社資産の有無について資料の提出を求め、会社の資産の清算状況や会社からの借入金等がないかを確認する。

法人

法人の同時廃止は認めないとされています。つまり法人は必ず破産管財となります。