個人事業の場合は、出張しても出張日当に経費にできませんが、会社の場合は出張日当は経費にできます。
個人事業の場合は、個人で生命保険に加入していても生命保険料を経費にすることはできませんが、会社の場合は会社が経営者に生命保険を掛ける際、生命保険料を経費にすることができます。そして経営者が死亡し保険料を会社が受け取った際、この保険料に見合う額の死亡退職金を経営者の遺族に支払うようにします。このようにすれば生命保険料を経費にして節税しながら、退職金を準備することもできるのです。
個人事業の場合、事業主や事業専従者(家族従業員)に対する退職金は経費とできませんが、法人化すれば退職金を必要経費とすることができます。
法人化して、事業主が役員報酬として会社から給与をもらうと、その所得から給与所得控除をすることができ、個人事業の場合にはできなかった控除ができます。
個人事業の場合事業専従者(家族従業員)に対する給与の支給は、税務署の届出が必要ですが、法人の場合は税務署への届出は不要で非常勤でも役員報酬を家族に支払うことができます。
個人事業の場合、事業専従者(家族従業員)の所得金額にかかわらず、配偶者控除の対象にできません。しかし法人化して配偶者に給与を支払った場合、その金額が103万円以下であれば事業主個人の所得から配偶者控除ができ、節税ができます。
個人事業の場合、所得に応じて5%、10%、20%、23%、33%、40%の6段階、住民税は10%、それに個人事業税が業種により5%がかかってきます。所得が少なければ、税率も低いので税金も少なくてすみますが、所得が多くなると、税金がかなり高くなってしまします。所得が多くなってきた場合、法人化した方が節税できるでしょう。
事業主と事業専従者(家族従業員)は、加入したくても社会保険に加入できません。(個人事業の場合、常時5人以上の従業員を使用する事業所の従業員は強制加入ですが、それ以外の事業所は任意加入です。)
国民年金や国民健康保険よりも社会保険(厚生年金・健康保険)の方が、保険料は高くなりますが、保障が手厚く、将来受け取れる年金も国民年金よりかなり多くなります。
法人化すれば、代表者である事業主及び従業員である配偶者も社会保険に加入できます。(法人の場合、従業員数にかかわらず社会保険は強制加入です。)
会社の株主や社員は自身が出資した範囲でのみ責任を負います。ただし、設立したての中小企業の場合は、代表者の個人保証を要求されることが多いので実質は有限責任とはいえないかもしれません。
個人事業の場合は、社会的信用がないので、会社によっては法人化しないと取引ができない場合があります。特に相手が上場企業になると、その傾向が強いようです。
個人事業よりも会社組織の方が融資を受けやすい傾向があります。
そのため取引先を増やしたり、融資を受けたりして、事業拡大していきたい場合は、会社設立をしたほうがよいでしょう。
またインターネットショッピングモールの出店では法人化しないとかなり審査が厳しいようです。
個人事業では、事業主が死亡すると、事業主の事業用口座が金融機関が死亡を知った時点で凍結され、取引先の支払い、給与の支払いができなくなり事業の継続に支障がでます。
また個人事業主に相続が発生した場合、事業主個人の事業用財産は相続の対象となり、相続税の対象にもなるので、事業の継続に支障がでます。
法人化した場合、事業用口座や事業用財産を法人名義にすることができるので安心です。
法人の代表者に相続が発生した場合、法人の所有資産は相続の対象とはならなく、代表者の所有する株式が相続の対象となります。株式の方が、後継者に株式を生前贈与、有償で譲渡したり、遺言により相続させる等事業承継の対策が取りやすいです。
すでに消費税の課税事業者になっている個人事業主であっても、法人成りすれば2事業年度分の消費税の納税義務を回避することができます。(ただし特定期間の例外はあります。)
個人事業の事業年度は1月1日から12月31日までで決算日は12月31日で変更することはできません。一方、法人は事業年度及び決算日は自由に設定できます。事業の繁盛期を考慮して事業年度を設定することもできます。また資本金1000万円未満の新設会社の消費税の免税期間を最大限長くするように、事業年度を設定することもできます。
個人事業主やより法人化して会社にした方が、人材募集をした際に応募が多くきます。よって法人化した方が優秀な人材を採用できる可能性があります。
青色申告の特典のうち、欠損金(赤字)の繰り越し控除ができる期間が、個人事業では3年間なのに対し、会社では倍以上の7年間になっています。その結果、業績に変動の大きい業種の場合には、赤字を繰り越せる期間の長い会社の方が有利です。
資本金が1億円を超える会社では、交際費の全額が必要経費と認められません。資本金が1億円以下の会社では、年間600万円という限度で必要経費として認められます。
法人住民税の均等割は、資本金1000万円以下、期末従業員の数が50人以下の場合(一番税率が低い場合)、県民税2万円、市税5万円(地域により多少変わります。)かかります。会社はたとえ赤字でも、最低7万円ほどの法人住民税の均等割を支払わなければなりません。
個人事業の場合、所得税の申告書は会計ソフトを使用すれば素人でも作成可能ですが、会社の法人税の申告書は作成が困難で、税理士に依頼しないと作成できないのが一般的です。
税理士に申告書の作成を依頼すると、税理士費用が会社の規模により月々1万円から5万円ほどの費用がかかるのが通常です。
会社は従業員の数にかかわらず社会保険への加入が強制されています(実際には未加入の中小企業がかなりあります)。そして会社は従業員の社会保険料を折半して支払わなければならないので、保険料負担が重くのしかかってきます。
会社設立をするためには、設立の登記をしなければなりません。費用は専門家の報酬によってかなり差がありますが、25万円から35万円ほどかかります。
また会社の登記事項(本店、事業目的、資本金、役員等)に変更が生じると、登記しなければなりませんので、その都度登録免許税や司法書士に任せる場合、報酬の支払いが生じます。
会社は、毎年決算公告をしなければなりません。これを行わない場合、100万円以下の罰金が課せられることには、法律上なっていますが、現実的には決算ごとに決算公告をしている中小企業は少ないです。
官報による決算公告は6万円から9万円ほどかかります。全国紙に決算公告を掲載すると最低50万円以上の料金がかかります。定款に定めておけば、インターネットにより決算公告する方法もあり、自社のホームページ上に掲載する方法と、決算公告専用のインターネットモールに掲載する方法がありま。インターネットモールでの掲載は1万円から2万円ほどかかるようです。インターネットによる決算公告は5年間掲載を続けなければなりません。