平成18年5月1日に「会社法」及び「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(以下「整備法」という)が施行され、有限会社の根拠法であった有限会社法が廃止されました。
今存在している有限会社は、「整備法」で定める特例を受けながら、商号の中に有限会社の文字を残したまま、会社法の規定による株式会社として存続する特例有限会社です。有限会社という名前だけど実質は株式会社ということで紛らわしいです。
有限会社はもはや設立できない会社です。今後減っていくことはあっても増えることはありません。この点で現存の有限会社は、貴重な会社といえます。
なお有限会社は吸収合併の存続会社になれませんし、吸収分割の承継会社にもなれません。株式交換、株式移転もできません。
有限会社は役員として取締役のほかに監査役を置くことはできますが、取締役会、会計参与、監査役会、会計監査人を置くことはできません(整備法17)。
株式会社の取締役・監査役と決定的に違うことは、任期の定めがないということです(整備法18)。つまり定款で定めない限り、いったん有限会社の取締役・監査役になれば、辞任、死亡、解任決議等の退任事由が生じるまでずっと取締役・監査役ということです。
株式会社と異なり、定期的な再任(重任)の登記というものが必要ないのです。
なお有限会社の監査役の監査の範囲は会計に関するものに限定されています。
取締役は、他に代表取締役を定めた場合を除き、有限会社を代表する権限を有します(整備法2)。
取締役が2人以上あるときは、取締役は、各自、有限会社を代表する権限を有します(整備法2)。
有限会社は、下記の方法によって、取締役の中から代表取締役を定めることができます(整備法2)。このようにして代表取締役を定めたときに限り、その者のみが代表取締役となります。
・定款に直接代表取締役の氏名を記載する方法
・定款の定めに基づく取締役の互選によって選任する方法
・株主総会決議によって選任する方法
【取締役の登記事項】氏名及び住所
【代表取締役の登記事項】氏名のみ
※代表取締役の登記は有限会社を代表しない取締役がある場合に登記事項になります。
【監査役の登記事項】氏名及び住所
※有限会社は監査役を置く場合でも、監査役設置会社である旨は登記事項ではありません。
役員の登記事項に関して、有限会社と株式会社は相違点がありますので注意を要します。
株式会社の場合は、取締役が1名の場合でも代表取締役は登記事項であり、代表取締役だけ住所が登記事項となります。
定款に代表取締役は取締役の互選によって選任する旨の定めがある場合、定款を変更しない限り、株主総会決議によって代表取締役を選任することはできない(登記研究244号)。
有限会社では代表取締役の氏名に関し、有限会社を代表しない取締役がある場合に限り登記することになっています。
そのため全員が代表権をもった場合は、元の代表取締役の氏名の登記の抹消の登記申請をすることになります。