抵当権抹消の実務上の注意点

抵当権抹消の登記は、簡単な部類の登記とされていますが、実務上の重要な注意点がありますのでいくつか記載していきます。


抵当権設定者が死亡した後に、抵当権が消滅した場合

抵当権設定者(不動産所有者)が死亡した後に、弁済されて抵当権が消滅した場合、抵当権の抹消登記の前提として相続による所有権移転登記を申請しなければなりません。


抵当権設定者の住所・氏名が変更した後に、抵当権が消滅した場合

抵当権設定者(不動産所有者)の住所・氏名が変更した後に、弁済されて抵当権が消滅した場合、抵当権抹消登記の前提として所有権登記名義人の住所・氏名変更登記を申請しなければなりません。


抵当権者が合併した後に、抵当権が消滅した場合

抵当権者が吸収合併された後に、弁済され抵当権が消滅したときは、抵当権の抹消登記の前提として合併による抵当権移転登記を申請しなければなりません。


抵当権者の本店・商号が変更した後に、抵当権が消滅した場合

抵当権者の本店又は商号が変更した後に、弁済され抵当権が消滅したときは、抵当権の抹消登記の前提として抵当権者の本店・商号変更登記の申請は必要ありません。この場合、抵当権抹消登記申請の際、本店・商号の変更を証する書面(登記簿謄本)を添付すればよいです。


異なる抵当権設定者の複数の不動産に対する共同抵当を抹消する場合

異なる抵当権設定者の複数の不動産に対する共同抵当を抹消する場合、別々に登記申請する必要はなく一括申請できます。


同じ抵当権者の異順位の抵当権の抹消登記の一括申請

同じ抵当権者の異順位の抵当権は、抹消登記を一括申請できます。例えばA銀行の1番抵当権とA銀行の2番抵当権は同じ日付の解除又は弁済であれば、一括申請で同時に抹消できます。この際、抹消する抵当権は2つにもかかわらず、登録免許税は不動産1個分の1000円でよいというのがポイントです。

当然別々に申請もできますが、別々に抹消申請すると登録免許税がもったいないので、司法書士としては一括申請して登録免許税を節約すべきです。


敷地権の目的である土地が同一の複数の区分建物の抵当権抹消の場合

敷地権付区分建物の抵当権抹消の登録免許税は、専有部分と敷地権の数×1000円なので、専有部分が1つ、敷地権が1つであれば登録免許税は2000円ですし、専有部分が1つ、敷地権が2つであれば登録免許税は3000円です。

それでは敷地権の目的である土地が同一の複数の区分建物の抵当権を抹消する場合、登録免許税はどうなるでしょうか? 敷地権の目的である土地が同じ所在及び地番であれば不動産を1つとカウントしますので、専有部分の数+敷地権1000円が登録免許税となります。

例えば居宅である敷地権区分建物と物置である敷地権区分建物(敷地権の目的である土地の所在及び地番が同じ)の共同抵当権を一括申請で抹消する場合、登録免許税は4000円ではなく、3000円です。