· 

変態設立事項について

会社設立における変態設立事項についてお問い合わせいただいたので、今日は変態設立事項について書かせていただきます。

変態設立事項とは、現物出資、財産引受、発起人の報酬、会社が負担する設立費用の4つの事項のことをいい、定款に記載しなければ、その効力を生じないとされています(会社法28条)。

定款に変態設立事項がある場合、下記①から③の場合を除き、裁判所の選任した検査役による調査を受ける必要があります。

①現物出資又は財産引受について定款に記載された価額の総額が500万円以下である場合

②現物出資又は財産引受のうち、市場価格のある有価証券について定款に記載された価額が市場価格以下である場合

③現物出資又は財産引受について定款に記載された価額が相当であることについて、弁護士、公認会計士、税理士等の証明を受けた場合(不動産の場合、不動産鑑定士の鑑定評価も必要)


変態設立事項中、会社が負担する設立費用は、創立事務所の賃料、定款の印刷費、株主募集の広告費、設立事務所の事務員の給料、創立総会のための費用等のことを指し、これらを設立後の会社の負担とするためには、定款に記載したうえで検査役の調査も必要になります。

なお定款認証手数料、設立の登録免許税、検査役費用、払込金融機関への手数料は定款に記載されなかったとしても、発起人が支出した場合、会社設立後、会社が当該発起人に返済できるとされています(会社法28条4号、会社法施行規則5条)。

※設立登記の司法書士報酬は、設立後の会社が負担すべきですが、法人税施行令14条1項1号の創立費として会社設立後の経費として認められているため、実務上はあえて定款に記載しないと思われます(法人税法基本通達8-1-1)。


私は、100社以上の会社設立手続きをしてきましたが、変態設立事項を会社設立時の定款に定めることは相当レアケースだと思われます。現物出資による会社設立をしたことはありますが、500万円以下のものでしたので、検査役の調査は不要な案件でした。


司法書士 佐藤賢