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会社解散登記時の株式の譲渡制限の定めの変更問題

今日は実務的過ぎて、一般の方には関係のない話をしてしまいます。解散登記の話です。


会社の解散登記をする際、実務上解散の登記と清算人の就任(選任)の登記を同時にします。ここでひとつ疑問点が発生します。


これらの登記に加えて、解散の登記をする際に、株式の譲渡制限に関する規定を変更しなければならないのかということです。


例えば、株式の譲渡制限に関する規定が【当会社の株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を受けなければならない。】とか【当会社の株式を譲渡により取得するには、代表取締役の承認を受けなければならない。】と定められている場合、会社の解散により取締役会や代表取締役が無くなってしまうことにより、取締役会の文言を清算人会、株主総会に変更する必要があったり、代表取締役の文言を代表清算人や株主総会に変更する必要があるのかどうかです。


司法書士業界の中で有名な【商業登記ハンドブック】によると、P498で株式の譲渡制限の定めに関する定款の変更を併せて行い、その登記をするよう、注意を要すると記載されています。


しかしただ解散するだけなのにもかかわらず、株式の譲渡制限に関する規定の変更もすると余分に3万円の登録免許税がかかります。そのため何とか株式の譲渡制限に関する規定の変更をしないで解散の登記ができないものかと調べていたところ、ある司法書士のブログで原則は株式の譲渡制限の変更をする必要があるが、却下事由にはあたらないという記載を発見しました。


そこで法務局に問い合わせして確認してみたところ、やはり原則は、解散登記時に株式の譲渡制限に関する規定の変更もすべきだが、これをしなくても却下や補正の取り扱いはしていないとの回答を得ました。なんともあいまいな回答です。


法務局に【原則は変更すべき】と言われると、変更したほうがいいのかと思いそうですが、依頼者としてはこの変更登記をしないだけで、3万円の節約になるし、あえて変更登記しないほうが絶対にいいに決まっています。


登記の専門家である司法書士としては悩ましい問題です。先例等で、解散登記時には株式の譲渡制限に関する規定の変更は省略できるとか不要とか決めてくれればありがたいなあと思います。


司法書士 佐藤賢