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葬儀費用は誰が負担するのか?

葬儀費用を誰が負担するかは、法律で定められていないため、葬儀費用でもめるケースがあります。通常は相続人全員が納得して相続財産の中から支出するか、話合により相続人全員の負担とすれば円満に解決しますが、中には葬儀費用は出したくないとか、相続人の一人が支出した葬儀費用の金額に納得いかないということでもめるケースがあるのです。


葬儀費用の負担者については法律の規定がないため、学説・判例で①喪主負担説、②相続人全員負担説、③相続財産負担説、④慣習説があります。私としては喪主負担説では相続人の中で喪主だけ負担が大きく不公平だとは思っています。


実務上は相続人全員の合意のもと相続財産から葬儀費用を支出し、相続財産が無い場合は、相続人の話合で負担割合を決めるのが通常です。しかし万が一、葬儀費用の負担や具体的な支出方法に争いがある場合は、相続開始後の話なので民事訴訟で解決することになります。その際、葬儀費用の領収書等は重要な証拠書類になりますので必ず保管しておきましょう。


このような葬儀費用の負担のことでもめないように遺言書を作成しておいたり、エンディングノートを作成しておくことが有効かなと思います。


※なお香典は、死者を供養し、遺族の悲しみを慰めるために贈られるものですが、相互扶助に基づき遺族の負担を軽くするために、葬儀費用に充てることを目的として贈与と考えられています。